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東京医療センターの看護師大量退職のニュースを見て感じること
2023年2月8日配信のYahoo!ニュースで
「日々辞めたいとばかり…」東京医療センターで看護師の16%が退職、さらに半数が退職希望
というのを見た。記事の内容には、大量退職の背景には勤務管理体制の問題がとあり、コロナ専用病床を作りコロナ対応にあたる中で、他の診療科の入院患者を受けいれ対応する看護師の慢性的な人手不足についても書かれている。
この記事を読んで、私は30年以上前に勤めていた大学病院のことを思い出し、退職することになってしまった看護師の傷が早く癒えることを強く願いパソコンに向かって記事を書いている。
- 卒後3年間は、大学病院の病棟勤務
- 呼吸器内科の病棟で3交代勤務
- 出産のため退職
- 長男1歳になり、育児をしながら近くの老人病院、外来での透析クリニックに半年~1年
- 個人病院で先生(医師)や奥様の顔色をうかがいながら…に疲れ退職
- バイク通勤できる範囲で地元の医療法人に23年
- 3~5年ごとに部署移動あり
- 訪問診療も行っている診療所4か所
- 外科病棟
- 訪問看護
- 地域包括支援センター
- 訪問診療専門クリニックに約1年
- 超高級有料老人ホームに約1年
- 土下座をさせられ退職
- 現在、介護老人保健施設に勤務して4年目
30年前と変わらぬ看護師の労働環境にビックリ、医療は進歩しているのに
なぜ、30年以上前の大学病院での勤務を思い出したかというと、
- 勤務はいまだに『ハンコ』で管理されていること、
- 前残業が1時間ほども必要な業務内容を続けておりサービス残業が当たり前の職場風土であること、
- 急変対応や看護記録など勤務時間内に終わらず残業申請も、看護師長か看護主任に申請するのだが、不在の時は当日リーダーに申告するのだが、仕事が遅いことを指摘されるような気がして、一度も残業申請したことがなかったこと。
これらの記憶がこの記事を読んだことで一気によみがえってきた。
この30年以上前の働き方が、今も日本の医療を支える東京医療センターでは当たり前のように行われていたのだと思うと、ひどく驚くと同時に、日本看護協会が提案する「ワークライフバランス」や「働き方改革」なんて関係ないんだな、と感じる。
Yahoo!ニュースの記事内に1月中に退職の意向を確認する用紙が看護長から看護職員に配られている情報もある。
私が30年前働いていた大学病院も、新しい看護師が入職するもの4月だけで、途中入職の看護師は思い出せない。
年度途中での、退職者もいなかったように記憶している。
私が4月に長男の出産予定を控えていたため3月末で退職できたが、面談を何度も繰り返し、手続きも大変であった記憶がある。
繰り返しになるが、私の体験は30年以上前の話だ。
新人看護師ほど前残業時間が長い、悪しき習慣
看護師の職場は女性が多く、閉鎖的な縦社会だと感じる。
先輩より後で出勤すると「慣れてきたから?余裕があるのね」と嫌味ともとれる言葉をかけられるため、どんどん出勤時間が早くなる。
患者さんの情報収集が済んだら、当日の点滴準備、バイタル測定をしながら、点滴をしていかないと午前中の仕事が終わらず、お昼ご飯にありつけない。午前中の仕事の遅れは、午後からの仕事を圧迫する。午後からもバイタル測定、点滴イン・アウトの管理、翌日の点滴準備、処置準備など、常に業務に追われている。
スムーズに業務がはかどらない原因でもあるナースコールは、新人看護師が対応するのが暗黙のルール。
「あなたの(新人看護師の)経験のためよ」とか言われて先輩からの圧力に、耐える日々。
記録する場所(パソコン含む)は先輩が先に使うので、待ち時間ができる
病院の詰所は、大奥のようだと思っている。
先輩やお局看護師が、詰所の中央、ナースコールからは遠い位置の椅子に座り看護記録を書く。
新人看護師は、ナースコールに近い場所で、立って記録する。いつナースコールが鳴っても対応できるようにするためだ。
勉強会や研究発表会が多く、休日もずっと看護師でいなければならない
日々進化する医療や求められる看護分野についての勉強会の開催も休日に行われることが多く、この考え方も「看護師として24時間拘束されている」感覚におちいる。
3年前、手探りの状態からはじまった慣れないコロナへの対応、患者の状態も不安定で、治療方針も毎日変わっていくので、それについてもプライベートの時間を使って、勉強していたのではないかと推測する。
コロナ感染予防のために、家族と離れて生活している看護師さんの報道なども思い出される。
コロナがきっかけで、ギリギリの看護が崩壊した
東京医療センターで働いている看護師は、やりがいを持って、意欲的に看護師をしたいと思って入職した人だと思う。
もっと医療・看護を学びたい、もっと患者さんを救いたい、しんどいのは私だけじゃない、みんなも頑張っているから、自分ももっと頑張らなくちゃいけない、もっと…。
看護師として30年以上働いてきて、思うのは「看護師は責任感が強い人が多い」「困っていることをほおっておけない」「私が何とかしてあげたい」そんな看護師の善意・熱意だけで、看護業務を回すことは無理だということ。
ギリギリの看護体制が崩壊したのは、東京医療センターだけではないと思う。
看護師の多くが、それそれの場所でコロナと戦ってきた。
まだ戦いの途中だが、何が自分にとって優先したいことなのか?私にとっても、考えるキッカケになった3年間だった。
それでも、やっぱり私は看護師の仕事が好きだ。
患者さんからの「ありがとう」から貰えるパワーでこれまで30年以上看護師を続けてこれた。
毎日、仕事に行くのがつらい時もある、辞めたいと思う日もある。それでも、誰かの役にたっていると実感できる看護師でいたいと思う。
今回退職された看護師さんたちが、また元のように自信を持って、患者さんに笑顔を向けられる日が早く来ることを願っています。
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